はじまりは、Filofax

 

1980 年代の終わり頃、イギリスのファイロファックスに代表されるバイブルサイズ、と呼ばれるシステム手帳が流行しました。ファイロファックスは買えませんでしたが、そのサイズの手帳を購入し、使い始めました。が、すぐに縦長の変形サイズに不便を感じ始めました。そこで、定型のサイズをと思いつき。東急ハンズの店頭で簡単に教わり、長辺の長さがバイブルサイズと近いB6の手帳を作りました。(東急ハンズ江坂店の店員さん、親切にありがとうございました。)

 

以来、回数券入れのついたコインケース・2泊の出張用カバン・パームケース(3台も買い替えた)などなど、

売ってないから、欲しいモノを作ってきました。

“売ってないから作る”、“自分の必要なモノを作る”これが基本です。

 

こだわりは、国産、なんだけど...

基本的には、国産のものを使いたいと考えています。フードマイレージでもありませんが、何せ「村の鍛冶屋」なんで。それでも、縫い糸や、セイルクロスのカバンの持ち手に使っているロープなどは、海外のものです。日本製がないからですが、メインの革は、国産です。

手縫い

 

ミシンは使わずに二本の針で手縫いしています。ことさらのこだわりはありませんが、手縫いすることによって、様々な制約から解放され、アイデアをそのまま形にすることができます。結果的にそれは「売ってないもの」になります。
昔、グローブレザーのショルダーバッグが一世を風靡したブランドがあって、僕の上司がそれを使い、壊れた(ストラップの付け根の部分)から、修理を頼まれました。ばらして、縫い直したんですが、縫い目の部分の革は、1mmを切る薄さに漉かれていて、壊れるのもうなづけました。ほとんどの工業製品はミシンで作られているため、縫い代の漉きは、必須のようです。

ということで、手縫いでしかできないモノが、ウリです。

 

作家?

じゃないんで、べらぼうなお代はいただきません。「村の鍛冶屋」を標榜しているわけですから、自分の作業時間にあわせたまっとうな対価をお願いしています。思いつきのようなデザイン、実用には関係のない精緻な技術、そんなものとは、無縁でいたいと考えます。